Ⅴ 中国神話と現代中国の実情

 古代大河小説『邪馬台国ラプソディ(YTR)』の著者の川鍋光慶です。YTRは古文書ホツマツタヱを含む各種の古文書と現地調査を基に解き明かした邪馬台国の真実をベースに作成した古代大河ドラマです。
若日孁

今回で5回目のブログになります。前回のブログは考古学の要素がメインだったので、退屈されたかもしれませんね。そこで今回は、中国神話と現代の話をします。五帝の話まですると長すぎるので、西王母、三皇と、現在の中国事情の話をします。

1、西王母
 最初に登場する神様は、前回のブログでも三星堆遺跡のところで出した、顔が厳しいと酷評された西王母です。
西王母は中国の神話の中の女神です。古い書物『山海経』では西王母の姿を「人の顔、虎の牙と体、豹のしっぽ」と描いていますから妖怪のような様相でした。この妖怪は天の災いや死刑などを司る死神のような恐ろしい存在だったんですよ。
記録に最初に現れるのは、漢の武帝の時代です。しかし、殷墟から発掘された甲骨文字の卜辞に「西母」という神名が刻まれていることより、西王母は、商(殷)時代以前の神様です。三星堆遺跡から西王母と考えられる像が出土しましたが、三星堆が栄えた時代は、紀元前1600年から紀元前1046年ころで、商(殷)時代とされています。
つまり、縄文時代の西王母は、とても恐ろしい神様だったんです。

『山海経 西王母』
西王母 山海経

『三星堆遺跡 西王母』
三星堆古墳 西王母

 ところが、時代が下るにつれて、西王母のイメージはやがて人の命を自在に操ることのできる不老不死の女神になりました。そして、中国の六朝時代(西暦222~589年)ころから、西王母は道教の美しい女神になっていきます。
道教で西王母は最高位の女神です。他の仙女すべてを支配し、西の聖地で諸神が住む崑崙(こんろん)山を統治し、不老不死の桃園を管理する絶世の美女として篤い信仰を集めます。王母娘娘(ワンムーニャンニャン)という渾名の西王母は、崑崙山にすむようになりました。楽器は、笙(しょう)を吹いていたそうです。

尚、老荘思想の老子は紀元前6世紀の哲学家ですが、道家は老子の思想を基礎として発展させたものです。道教は黄巾の乱(西暦184年)で有名な太平道に起源を持ち、老子を神とし、老荘思想を道教の源とする土俗的な宗教です。
つまり、西王母が美しい女神になったのは、黄巾の乱以降の卑弥呼の時代(弥生時代後期)からなのです。

After(弥生時代後期の王母娘娘) 娘娘はニャンニャンと発音し、お姉さんのことです。
道教西王母 


2、三皇
さあ、三皇神話の話をしましょう。
中国唐代の学者の河内司馬 貞(しば てい)によると、三皇とは伏羲(ふくぎ)、女媧(じょか)、神農のことです。
新石器時代に生きた伏義と女媧は兄妹で、大洪水が発生した際に二人は大きな瓢箪(ひょうたん)に乗り生き延びました。ノアの方舟の話のように、兄妹以外の人類は絶滅したので、子孫を残すために二人は結婚し、四人の子供を儲けました。伏義と女媧は蛇身人首の神なのですよ。
女か ふくぎ


2 (1)、女媧
 女媧(じょか)は人類の母であり、創世神話の母神です。大洪水から命からがら逃れた女媧は、兄の伏羲(ふくぎ)との間に4人の子供を儲けました。それ以外の大勢の人間は、一生懸命、粘土で作ったそうです。
女媧

 女媧は葦や枝を使って笙簧(しょうこう)、オカリナに似た塤(けん)、弦楽器である瑟(しつ)などの楽器を作ったとされているので、人々は女媧を音楽の女神としても信奉しています。
さらに、女媧は人類に代わって婚姻制度を確立し、若い男女を結婚させ子孫繁栄を促進した為、婚姻の女神であると伝えられています。
女媧2


2 (2)、伏義
 伏義(ふくぎ)は、妹の女媧(じょか)と近親相姦をした兄だが、古代には近親相姦が悪いことだという概念が無く、むしろ強い血脈を残せるということより、近親相姦は一般的でした。後に奇形児の問題等で、同じ名字の異性と結婚することも許されなくなってきたそうです。
伏義(紀元前3350年~前3040年)は、人々に漁の仕方を教え、人々の暮らしは豊かになりました。さらに、文字ができる以前ですが、縄の結び目で意味を伝える方法も考案しました。更に、瑟(しつ)という楽器を発明し曲を創作したそうです。
なんと言っても、有名なのは、伏義は八卦を考案したことです。それで、道教の祖ともいわれています。(前3350年?~前3040年?)
 妹の女媧は綺麗でしたが、兄の伏義は胡散臭い顔をしていますね。
伏義

2 (3)、神農
 数千年前のことでした。王朝もなかった頃の古代中国では、神から文化を授かったと信じられていました。古代中國は半神半人が治めていて、そのうちの一人は、炎帝(神農)と呼ばれました。炎帝は賢く慈悲深い皇帝でした。人身牛首で、腹は透明だったと言われています。太陽の神として呼ばれました。農業、薬草、醫療に盡くしたため、五穀天皇、中國醫學の神などとも呼ばれますが、神農として一番良く知られています。
神農

神農は毎日、森や繁みに入り、野生の植物の標本を見つけられるだけ集め、味や屬性で分類していきました。透明な腹がここで役立ちました。毒草と薬草を見分けていくことができたのです。そして365の薬草、果実、野菜と五穀(米、麥、もろこし、粟、豆)を選定しました。神農は暦、すき、斧を発明したと言われています。広域にわたる耕作、保護、そして食料の貯蓄を編み出すことで、民が飢えないようにしました。これが中國での農業の始まりとなりました。數千年後、漢朝の學者によって、神農が発見したことを基に、『神農本草経』がまとめられました。
神農が毎日、無數の草を喰み、毒気にあたることはなかったのかと思う方もいると思います。
この解答ですが、実際、一日に70回まで毒気にあたったそうです。して、あらゆる毒素を解毒する葉をみつけていました。それが「茶」なのです。
下記の写真が凛々しい写真が、神農のブロマイド写真です。
神農業は人気者で、立派なお廟まで建造されているのですよ。
神農2

神農は、年をとっても、本当に格好が良いのです。男前ですね。
角まで生えているくらい、ダンディなんです
神農3

でも、本当の実像は以下の図のようです。
腹は透明で、毒を飲むと、毒に侵された場所が直ぐに分かるのです。でも、最後は毒を飲んで、身罷るのです。
神農4
神農本草経』は、古代中国に伝わる薬物の知識が集録されています。成立年代は、一般的には1~2世紀頃といわれています。原本は古くに散逸してしまいましたが、後の陶弘景(452-536)が500年頃に著した書物に引用したので内容が残り、それをもとに近世になってから充実した復元本や注釈書がまとめられました。


3、中国人気質
  五帝の話に入る前に、中国の現状の話をさせて下さい。
13年以上前になりますが、私は初めて、中国に新しい製造拠点を造るか否かを決める為に、中国の地を訪れました。私は知識不足で、中国に関し、大きな誤解をしていました。今思い返すと、愚かであったと、恥ずかしい限りです。

中国を訪れる前の中国のイメージは以下の通りでした。
1、 中国は貧しく、多くの人が自転車やオートバイに乗っている。
2、 排日思想が根付いており、日本人を憎んでいる。
3、 共産党の一党独裁制の国で、国全体が金太郎飴みたいに、共産主義で雁字搦めに染め上がっており、自由が全く無い。
4、 中国人は真面目でなく、真剣に働かない。
5、 少数民族を迫害している。
 私が現地企業を立ち上げ、7社合弁の社長のキャリアを積んでいた時、私の憶測はなんと愚かだったのかと痛感しました。上の5項目は、全て、的外れでした。

 思い違い1の『貧困』に関してですが、私が滞在した福建省の厦門は、高層ビルと多くの公園が立ち並ぶ、裕福な都市でした。台湾の直ぐ西の島です。
厦門にある鼓浪嶼(ころんす)島は、共同租界の島で、沢山の外国の領事館があり、単位面積あたりのピアノ密度は、昔は世界一でした。そして、中国の都市が大きいことは、上海を訪れたことがある方なら、皆知っています。

 厦門島はオートバイの乗り入れは禁止なのです。バスの料金が、エアコン無しで20円でしたので、誰も、自転車やオートバイを使おうと思いません。自転車はありますが、殆どが、運動用の電動アシスト自転車か、観光地の自転車専用道でのカップル用の二人乗り自転車ばかりです。
厦門 町並み
厦門 バス
厦門 自転車専用道

 この街でよく見かける自動車は、ベンツ、BMW8シリーズ、ポルシェ、アウディ、フェラーリ、日本車です。ここの人口の10%は、年収2千万円以上なんです。(中国全体では、年収8千万人以上が大金持ちです)。
日本食レストランやイタリアンレストランは、小さな島の中に、各40軒以上ありますので、日本人が食べ物に困ることはありません。
そして、現在では、中国全土での支払い方法は、スマート・フォンに依る電子マネー決済が一般的です。現金は、嫌がられます。露天のおばさんでも、電子マネー決済をします。この分野では、日本の方がずっと後進国です。
 厦門は田舎の中規模なサイズの町で、福建省の省都ではありませんが、新幹線は停まるし、島と本土の間は、鉄道、橋、海底トンネルや飛行機で繋がっています。橋といえば、現在、台湾の金門島を繋ぐ橋を建造しているところです。
厦門 公園
夜景厦門 

 次に思い違い2の『排日感情』に関しての実情を話します。
 中国人は子供の頃から、ドラエモン、ワンピース、ちびまる子ちゃん、スラムダンク、コナン等、日本漫画漬けの生活を送ってきています。ドラマでも、『東京ラブストーリー』や『『おしん』は名作とされており、多くの中国人が日本贔屓になっています。そして、日本の技術力には敬意を払っているんですよ。
そして、日本がクリーンな国だと知っていますので、日本へ旅行したいと考える中国人が多いのです。
健康に関してもとても敏感で、中国製の食材や化粧品を買おうとせず、日本製品は引っ張りだこです。

 思い違い2の『反日感情』に関して、次に話をします。
反日感情なんて、殆どないんですよ。
私が中国滞在中も、反日的な態度で接する人は稀で、寧ろ、日本人と友だちになりたいと人が多かったんです。そして、政府の方々からも、様々な面で優遇して下さったり、サポートをして頂きました。例えば、会社の記念式典には、市長より偉い市の書記長が臨席して下さり、その際の要人の移動の際にはパトカーが先導してくれます。もし、反日感情が強ければ、こんな事はありえません。
パトカー先導

 日本の政治家の靖国神社参拝に関しては、日本の政治家は井の中の蛙で、世界が見えていないと思います。何処の国でも無名戦士の墓があり、丁重に祀られています。だから、国のために命を落とした兵士を弔うことに関しては、中国人は異議を唱えたりしません。
無名戦士の墓
 でも、日本が敗戦したときに、ロシア兵は満州にいた大勢の日本人を殺したり、強姦したりしました。もし、これの行為を指示し容認した士官の墓にロシア大統領が墓参りに行って「皆様方の努力に敬意を払います」と謝意を表したら、我々日本人は黙認することができるでしょうか?

 尖閣諸島の魚釣島の漁船の衝突の事件に関しては、中国政府は船長が悪いことは分かっているのです。しかし、国の面子がかかる領土問題なので、罪人を庇ったに過ぎません。
ただ、領土問題をないがしろにすると、中国政府は国民から見放され、政権を維持することができなくなります。だから、致し方なく、あのようなやり方をしたのです。
本国に戻ると、船長は英雄では無く、罪人同様の処遇を受けたそうです。中国人にとって面子を守ることは非常に重要ですので、政府は面子を守ろうとして必死なのです。

 でも、以下の新聞記事を参照願います。中国政府を動かす方法が書かれています。
『2016年11日に尖閣沖で起きた中国漁船とギリシャ貨物船の衝突により、中国漁民を日本の海保が救助したのを受け、中国の海警は何をしていたのかと中国のネットが炎上。面目丸つぶれの中国政府は日本へ謝意。
日本の海上保安庁の巡視船は沈没した中国漁船の船員救助に尽力し、船員6人が救助され中国側に引き渡された。11日の中国メディアは、日本のメディア報道をなぞる形で、ただ単に文字で「中国側は謝意を表したとのこと」と、他人事のように書き、炎上するネットのコメントの削除に躍起になっていた。
しかし中国政府を非難するコメントは増えるばかりで、中国大陸のネットが炎上し始めた。すると11日の夜になって、中国外交部(外務省)の華春瑩・報道官(外交部新聞司副司長)は「日本側の協力と人道主義の精神に称賛の意を表す」と明確に口頭で表明するところに追い込まれた。』
 日本の政治家やマスコミは、外交のやり方を理解できていないのだと思います。
華春瑩


 思い違い3の『自由がない』に関しては、『中国人は雑草のように非常に逞しく、したたかに生きているのです』と言えます。北朝鮮は政府に従順でなければ生き延びることが出来ませんが、中国では多少の制約はあるにしても、一定の制約さえ守れば、自由奔放な生活ができ、ある面では、日本では精神的な制約は大きいのですが、中国の田舎では精神的なストレスが無く、自由を謳歌することができます。但し、学歴主義の国なので、都会の子供は大変です。また、自由過ぎるのが、問題ではありますが (´-ω-`)
中国遊園地


 思い違い4の『真剣に働かない』ですが、人により異なりますが、若い中国人は真面目で一生懸命働きます。しかし、終身雇用の考え方は一般的では無く、アメリカみたいに会社への忠誠心は低い傾向があります。中国には春節がありますが、若者を皆故郷に戻り、両親と次の一年の身の振り方を相談して決めます。そのため、春節の前後にボーナスを支給します。日本人以上に一所懸命働く中国人は山のようにいるんですよ。

 最後に、思い違い5の『少数民族』に関して説明します。
少し前まで、漢族に関しては、一人っ子政策がとられていました。しかし、少数民族に関しては、子供は何人産んでも自由です。漢族と少数民族の夫婦の結婚の場合には、二人まで子供を産む権利がありました。
一人っ子政策

 そして、例えば、チベット族の場合には、金持ちは奥さんごとに部屋を充てがうことができれば、何人でも妻を娶れます。反対に羊飼いのような貧しい家庭の場合には、男兄弟がそれぞれ一人ずつの奥さんをもつことが出来ないので、一人の奥さんがその家の男兄弟全員の妻となります。一妻多夫制です。家の実権と財布は奥さんが握ることになります。
チベット族

 兄弟同士のイザコザが予想されますが、それはありません。羊飼いなので、殆ど遊牧で家に戻ることがないので、兄弟同士が家で重なり合う場面が殆どないんです。そして、春節のように家族が集う場合には、特別のルールがあります。男兄弟は人部屋ずつ部屋が与えられます。その部屋の前に赤いランプが付けられており、今宵の奥さんと過ごす権利は一番早く赤ランプをつけた男性です。その弾性は、兄弟全員が一周するまでは赤ランプを付ける権利がなくなります。どうですか?とても平等でしょう!
そして、子供が出来たら、長男が父親になります。その他の兄弟は『師父』と呼ばれます。

 また、大学等の教育費は少数民族の場合、政府から奨学金がでます。そして、大学を卒業してから、政府のためにガイド等の仕事を数年間すれば、奨学金がチャラになります。医療費でも恩恵があります。更に、子供を二人持つことが出来たので、少数民族の女性は漢族からもてたのです。中国政府は、少数民族が離反しないように、気を配っていますし、お金もつかっています。それにも関わらず、宗教上等の理由で離反しようとすると、目を尖らせます。これに関しては、弾圧ではなく、もっと良い方法を選択すべきだと思います。

 時間が許せば、下記の動画を御覧ください。民族に寄って、顔、衣服、生活習慣、婚姻精度が全くことなるのです。
以下は、『56 Ethnicities of China中華56个民族』という動画ですので、顔や民族衣装の違いを実感して下さい。
https://www.youtube.com/watch?v=VPEvtjbKszs
言葉も全く異なり、中国人が他の地域の方言を聞いても、チンプンカンプンですが、この動画は音楽と映像だけなので大丈夫です。

 中国は多民族国家で、日本のように金太郎飴のような構造ではありません。中国は、漢民族を含めて、56民族から成り立っています。中には、西欧人の様相な民族もいます。
そして、少数民族と言っても、イ族だけでも870万人いるんですよ。


 今回は、中国事情まで話をしました。それでは、いよいよ次回は五帝と帝禹の話をしますね。


邪馬台国ラプソディ著者
川鍋 光慶
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各地の原住民

「山海経」の西王母の進化系=けものフレンズなのかも?

人間は進化する生き物だから
神様の見え方が変わっていくのかな。
このような変化には別の理由があるのかもしれないけれど
西王母の姿には、予想外の驚きがありました。
個人的には、神農さんが好きです。

以前、台湾に行ったときに
原住民の集落などを見て回りました。
『56 Ethnicities of China中華56个民族』の動画を見ていると
衣装や顔立ちが似ている感じで、台湾の旅を懐かしく思いました。

原住民の女性の衣装が御洒落だと、その中に混じりたいとも思います。
日本はわずかに沖縄とかに名残を残しているのかな。

個々の民族が平和に豊かに
暮らしを維持していけたら理想ですね。